◆人待ち顔の 店じまい(m047)◆
♪「雨が空を捨てる日は 忘れた昔が 戸をたたく」
・アルバム「みんな去(い)ってしまった」の1曲目「雨が空を捨てる日は」です。あの当時(1976年)、失恋をこの様に表現できるアーティストはいなかったのではないかと、思います。
♪「忘れられない やさしさで 車が着いたと 夢を告げる」
・「雨が降る」を「雨が空を捨てる」と表現し「男が女を捨てる」を、暗喩(暗に示し)しています。一般的な詩であれば「男に捨てられた」を先に言い、それは「雨が空を捨てる」様だと、書きそうです。そこが、中島みゆきの独創的な発想であり、才能だと思います。
♪「雨が空を捨てる日は なおしあきらめる 首飾り」
・「なおしあきらめる 首飾り」は、バラバラのまま捨てられる運命にあります。一粒、一粒はキレイでも、首飾りの用はなさないからです。「なおしあきらめる」は、修復できない男女の暗喩だと考えられます。
♪「ハンドバックのとめがねが はずれて 化粧が散らばる」
・井上揚水の「ジェラシー」(1981年)の2番の歌詞の「ハンドバックのとめがねが はずれて 化粧が散らばる」を聞いた時「雨が空を捨てる日は」の2番の「なおしあきらめる 首飾り」を、思い出しました。女性にとっては大切な「首飾り」「化粧品」が、
「壊れる・散らばる」。女性の落胆は、いか程かと思いやられます。
♪「空は風色 溜息模様 人待ち顔の 店じまい」
・「人待ち顔の 店じまい」は「私を捨てた男など諦めなさい」と、自分に言い聞かせる暗喩と、考えられます。この様な暗喩をとりながら、直接的に表現するよりも深く、聞く人の心に響いてくる歌を作るのは「中島みゆきの得意技」ですが、それが見事に決まるので「グーの音」も、出なくなります。
◆私の「オリジナルソング」をアップしています。良かったら聞いてください。