◆中学生の私のサンドバックになってくれた『ボクサー』(m147)◆
◎収録アルバム:「明日に架ける橋」
♪『ボクサー』の歌詞<1>
俺は貧しい少年だった
身の上話なんて まずしない
ポケットいっぱいのつぶやきは
俺の反骨精神を しおれさせてしまった
♪故郷を飛び出した少年は、ボクサーとなり リングに立った
家族を捨て 故郷を飛び出した少年
ニューヨークの街は 想像以上の厳しさだった
日雇いの仕事さえ見つからない時
「試合に勝ったら金がもらえるぜ」の誘い
少年はリングに立ち パンチドランカーよろしく 打ちのめされていく
♪この歌は、ボブ・ディランに対するあてこすり?
発売当初、この歌は19歳のとき、故郷のミネソタ州ダルースからニューヨークに出たボブ・ディランに対するあてこすりではないかと、言われました。ポールは、この噂を否定して「歌詞は聖書からの引用と自伝的な内容である」と、発言しています。
♪『ボクサー』の歌詞<2>
リングに立つ 孤独な俺
相手の一撃に うめく俺
忘れはしないぜ 奴の一発一発を
怒りと屈辱のなか 俺の心は叫ぶ
「もうやめたい!まっぴらだ!」
でも、リングの上
まだまだ戦いは続く
ライラ、ライ! …
♪「ライラ、ライ!」は単なる掛け声です
歌詞を見ると「ライラ、ライ!」は「lie(嘘)」と書いてあります。何をやってもうまくいかない少年がすべてを「嘘だ!」「嘘っぱちだ!」と全否定して歌っていると、私はズーッと思っていました。今回調べて、ポールは「このlieに、嘘や横たわるの意味はない」と言い切っている事がわかりました。つまり単なる掛け声だという訳です。
♪『ボクサー』を始めて聞いたのは中学の時
中学生ともなると、世間が少し見えてきて、反抗心も生まれてきます。『ボクサー』という歌の「怒りのパワー部分」を増幅して「ライラ、ライ!」を、ガナルように歌っていた中学時代です。しかし、この歌は「懐が深い」ので、こんな中学生のストレス発散にも文句も言わず付き合ってくれました。『ボクサー』は、中学生の私のサンドバックになってくれたのです。
・ボクサー(5分09秒)
・故郷を飛び出した少年は、ボクサーとなり、リングに立った
・作詞・作曲:ポール・サイモン 歌:S&G